講談社まんがスカウトFes#4
最終選考レポート

「なかよし」「シリウス」「ARiA」「別冊少年マガジン」「ヤングマガジン サード」に加え、「少年マガジンR」も参加した第4回『講談社×pixivまんがスカウトFes』。今回はグランドチャンピオンの選出が大激論となり、なんと別の日に選考がもつれ込むほどの盛況ぶり! 熱い選考会の模様を、大ボリュームでお届けします!!

けんぴち(シリウス・今回の議長役)
けんぴち(シリウス・今回の議長役)
今回は500本近くの応募があり、前回に比べV字回復という感じでしたね。お題をつけて入り口を広げられたのが大きかったかなと思います。最終選考に残った作品をお題別に数えると、「人外」62本、「擬人化」34本、「ぼくの考えた最強の魔女」21本、「男同士の友情」48本、「家族」53本、「かわいいふたり」61本、「ファンタジーだからできる恋」31本で、「人外」と「かわいいふたり」が特に人気でしたね。 まず全体の感想をいただけますか?
なかさん(なかよし)
なかさん(なかよし)
1次選考も2次選考もレベルがすごく上がっていて、非常にいろいろな種類の面白いものを見た、という感じでした。今回タグをつけたことで、「なるほど、こういう切り口があるのか」ということを、こちらも勉強させてもらえたのが良かったです。バラエティが豊かになっていると感じました。
シロー(マガジンR)
シロー(マガジンR)
お題をつけたことで、良い意味で敷居が低く裾野が広くなったのかなと思います。たくさん集まった作品のどれも楽しく読ませてもらいました。普段「マガジンR」の看板を掲げているだけでは出会えないような才能に複数出会えたのは大変喜ばしかったです。あと、男女も年齢も関係なく作品本位で選ぶ漫画賞というのは意外とないので、素晴らしいなと思いました。一億総活躍漫画賞!
カズシ(別冊マガジン)
カズシ(別冊マガジン)
テーマを設定したことで「この作品はこういうことがしたいんだな」というのがわかりやすくなったので、新たに評価したい作品が出てきたりと、自分の中での見方も変わりました。また、デジタルに慣れている人のレベルが上がっているように感じました。
ツッチー(ARiA)
ツッチー(ARiA)
テーマを設けたことで、これまでのスカウトフェスらしい「センスの良いショート」だけでなく、ストーリー的に面白いものが多くなって、「雰囲気だけじゃない漫画を描こう」という意気込みを感じて面白かったです。
ムラ(ヤンマガ サード)
ムラ(ヤンマガ サード)
僕自身は初参加だったのですが、もっとライトなものが多いのかなと思っていたら、意外と骨太なストーリーものが多くて面白かったです。
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
お題をつけたことで、ウリが見えやすい、アオリがつけやすい作品が多くなった印象は受けましたね。「七つの題材」、またやってみたいですね。

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けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
まずは各誌の賞を決めていきたいのですが…事前に編集部ごとに獲得希望作品を3作ずつ挙げていただいていたんですけれども、カブりが多いんです! ここは議長の強権で、あみだくじで順番を決め、ドラフト制にしたいと思います!
シロー(マガジンR)
シロー(マガジンR)
ドラフトは戦略が必要なんだよな~…。別マガさん、うちはコレを獲りに行きたいんですけど、おたくも希望出してますよね? あとで交渉しません?
カズシ(別冊マガジン)
カズシ(別冊マガジン)
う~ん…。
なかさん(なかよし)
なかさん(なかよし)
水面下での握り合いが…! 談合はやめてください!
(入魂のあみだくじタイム。「やった!」「ちくしょう~!」などの叫声があがる)
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
さあ、ドラフト順が決まりましたね。では1位のなかよし編集部から、賞を差し上げたい作品を挙げていってください。
なかさん(なかよし)
なかさん(なかよし)
ドラフト1位、やりました! 獲得したいのは、nemeさんの『男の娘と同居中~ちなみに俺は吸血鬼~』です。確か前々回にも読ませていただいた記憶があるのですが、その時からしっかり進化しているなぁと感じました。絵柄も、より今時っぽく変わっている。「いろいろな作風で描いてみるんだ!」という意気込みを感じます。これだけ多彩に描ける人は、良い意味で貪欲で、すごく頑張ってくれそうな気がします。今回は即戦力をゲットしに来たので、初のドラフト第1位になったからには、部員に熱望されていたこの作品をぜひ獲得したいです!
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
確かにnemeさんは、同時応募の『ぼくはクローン』は心象風景をメインに描いたもので、『男の娘と同居中~』はしっかりキャラを立てた会話劇と、全く違う作風を描き分けていますね。
なかさん(なかよし)
なかさん(なかよし)
『男の娘と同居中~』は、より「受けに行くぞ!」という意気込みを感じて、そこが良いと思います。
ツッチー(ARiA)
ツッチー(ARiA)
コメントしても良いですか…? ドラフト外れてしまった…(涙)。『男の娘と同居中~』は、理屈抜きで「カワイイ!」の一言ですね! 男の子をはじめとして、キャラたちがすごく可愛い。nemeさんは3本出してくださっていますが、その中でもこの作品が一番、プロの作品として売り出せる作品だなと思いました。
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
漫画として2話目が作れちゃう作りになっていますよね。 では、nemeさんの『男の娘と同居中~ちなみに俺は吸血鬼~』、「なかよし」に掲載です!

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けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
ドラフト2番目ゲットしました! 遠藤まめさんの『雲の向こうは、いつも青空』を希望します。ネームとしては荒削りなところもありますが、何と言っても風景の切り取り方やカットの割り方がスタイリッシュ。表情の強さやタッチの綺麗さも印象的です。おそらくデジタルだと思いますが、線も、シャープでありながらちゃんと温かみを感じる。ぜひストーリーを練った作品を描いてみていただきたいと思います。
ツッチー(ARiA)
ツッチー(ARiA)
またコメントしても良いですか…? すごく素敵な作品ですよね。ショートフィルムみたいで、スカウトフェスらしい。タイトルページも良くて、素敵な空気感があります。
なかさん(なかよし)
なかさん(なかよし)
パソコンで、バックライトで読むとすごく綺麗ですよね。
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
確かに、デジタル映えするというか。 では、遠藤まめさんの『雲の向こうは、いつも青空』、シリウスから賞を差し上げます!

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ツッチー(ARiA)
ツッチー(ARiA)
やっと順番が回ってきた! ARiAが欲しいのは卯々乃さんの『シマイズム』です。
カズシ(別冊マガジン)
カズシ(別冊マガジン)
あっ、うちも欲しかったのに…。
ツッチー(ARiA)
ツッチー(ARiA)
すみません(ニコニコ)。人の家の子ばっかり褒めていましたが、ようやく自分の家の子を褒められます…! 主人公がとっても可愛くて、人間がしっかり描けているところがすごく好きです。途中で、「主人公にとってお姉ちゃんは闇から救ってくれる光!」というようなネームが出てくるんですが、そこで思わず涙が…キラリ…。とっても温かな読後感で良かったです。「今回はストーリーが良い作品が多かった」と最初に言いましたが、この作品はその中の1本で、そんなに大きな話ではないんだけれど、良い人間ドラマになっていて、素晴らしいと思いました。
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
二人とも一人っ子というところから、お互いがお互いの寂しさを埋め合うという、繊細な作品でしたね。扉もセンスがありますし。 では、卯々乃さんの『シマイズム』は、ARiAに掲載!

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シロー(マガジンR)
シロー(マガジンR)
うちは舵木野良さんの『マシカの馬車』を。
カズシ(別冊マガジン)
カズシ(別冊マガジン)
うちも欲しかったんですが…。良いですよね。
シロー(マガジンR)
シロー(マガジンR)
最終選考は260本くらいあったと思いますが、その中でこれが一番目に留まりました。舵木さんの同時応募の他作品と比べても、特にこの作品が良かったです。プロットに直すと突飛な話なんだけれど、それをきちんと読ませる力がある。他の2作品もそうなんですが、類想を退けるというか、「ハリーポッターみたいな話かな?」と思うとそうではないし。ディティールもしっかりしていて、楽器や音楽に対する並々ならぬ愛や知識を感じます。マシカさんもすごく良い女だし(笑)。まだ奥がありそうなこの漫画力の高さには一票を投じざるを得ませんでした。「これ読めて良かったなあ!」と思った作品です。
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
線に色気がありますよね。それと「武道館へ行くってそういうことかー!」っていう、あれはびっくりしました。非常に才能を感じます。 舵木野良さんの『マシカの馬車』、「マガジンR」に掲載決定です!

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カズシ(別冊マガジン)
カズシ(別冊マガジン)
うちは、MKさんの『デコボコント』が欲しいです。少年漫画的に、一番アツくて良かったです。育っていきそうな、伸び代を感じます。ネタに振った作品が多い中で、ストレートに友情を描いていたのも良かったです。
ツッチー(ARiA)
ツッチー(ARiA)
うちも良いなと思ってました…! 青春感がありますよね。
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
若々しいですよね。「男同士の友情」というテーマで、BLも視野に入れてはいましたが、こうしてストレートに男の子同士の友情を描いた作品を投稿してもらえたのは嬉しいですね。 MKさんの『デコボコント』は別冊マガジンが獲得ということで!

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ムラ(ヤンマガ サード)
ムラ(ヤンマガ サード)
サードは、たけまつさんの『霧雨』を希望します。絵も繊細だし、物語性があって良いです。特にラストは素晴らしかったですね。
ツッチー(ARiA)
ツッチー(ARiA)
BLっぽいんだけど、おとうさんが最後に乗っかっていかないんですよね。ちょっとハグして額に…みたいな感じで、おとうさんが素敵だなあと。主人公も「あ…コーヒーのにおいだ」みたいな感じで、そのネームが良いなあと思いました。ただ単に男同士のくんずほぐれつじゃなくて、二人は精神的な素敵な恋をしたのかな、同性だけど心惹かれる相手だったんだなというのがちゃんと描かれていて、良いなあと思いました。
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
絵がかっこいいですよね。ロゴからして。吉田秋生先生の『櫻の園』という、女の子が女の子に告白する作品を思い出したんですが、「そういう関係」なんだけれど爽やか、という感じでしたね。 では、たけまつさんの『霧雨』はヤンマガ サードが獲得です!

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けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
お題ごとの賞として、あとは「擬人化」賞と「ファンタジーだからできる恋」賞が残っています。得票数が多かった作品は、みなづきになさんの『リリー・インストール』、平田 鵺さんの『その時、嫁が動いた』ですが、お時間もないことですし、この2作は議長権限でシリウスがいただくということで‥‥(ニヤリ)。
シロー(マガジンR)
シロー(マガジンR)
ちょちょ、ちょっとちょっと! 議長、横暴すぎでしょ!!
(けんぴち編集長を編集長陣が制止、厳正なる「じゃんけん」の結果、獲得編集部が決定)
なかさん(なかよし)
なかさん(なかよし)
やった、勝ちました! では、みなづきになさんの『リリー・インストール』を「なかよし」がいただきます。とにかくリリーさんが可愛いですね。異世界が現実にやってくるという設定もストレートでワクワクします。
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
結局勝たせていただきました(キリッ)。平田 鵺さんの『その時、嫁が動いた』、いただきます! ファミレスでくだらない話をしているだけなんだけど、すごく面白く読めてしまった。読者を引っぱっていくのが上手いですね。キャラクターの絵も、男の子も女の子も魅力的です。

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けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
さて、各誌の獲得作品が決まったところで、いよいよグランドチャンピオンを決めたいと思います! 事前投票の評価の高さから言うと、nemeさんの『男の子と同居中~ちなみに俺は吸血鬼~』、遠藤まめさんの『雲の向こうは、いつも青空』、舵木野良さんの『マシカの馬車』の3作品のどれかに絞れるかと思います。 どれも拮抗していますが…やはり、『雲の向こうは、いつも青空』のデジタルならではのスタイリッシュさがかなり印象に残るとは思うのですが、いかがでしょう?
シロー(マガジンR)
シロー(マガジンR)
いやいや、グランドチャンピオンはもちろん『マシカの馬車』でしょう! ネームが圧倒的に面白い。
なかさん(なかよし)
なかさん(なかよし)
『男の子と同居中~ちなみに俺は吸血鬼~』の完成度と前作からの伸びが、やっぱり素晴らしいと思います!
(以降、30分以上議論続く。3編集長、一歩も譲らず…)
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
…3編集部とも一歩も譲らないので、これは別の日に設定しなおしたほうが良さそうですね…。

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(後日、編集長再集合)
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
今日こそはグランドチャンピオンを決めましょう! 1作品ずつ推薦コメントを伺っていきたいと思います。 まずは「なかよし」が獲得したnemeさんの『男の子と同居中~ちなみに俺は吸血鬼~』。
『男の子と同居中~ちなみに俺は吸血鬼~』
『男の子と同居中~ちなみに俺は吸血鬼~』
 neme
なかさん(なかよし)
なかさん(なかよし)
この作品は「なかよし」本誌に載せられる即戦力です。絵が可愛くて、小学生も中学生も高校生も好きになってくれそうで。絵の完成度もすごく高い。nemeさんは、前回も1作応募してくれたんですが、今回は3作も応募してくれています。そのやる気を買いたいですね。まさにグランドチャンピオンにふさわしいと思います!
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
nemeさんは作風が一番バラエティに富んでいますよね。投稿作も多くて、自殺を題材にした重めのものや、クローンがテーマのちょっとダークなものから、うってかわった美少年ギャグまで。振れ幅の大きさと共に、完成したところがあると感じます。背景も相当しっかり描いていらっしゃいますよね。
ツッチー(ARiA)
ツッチー(ARiA)
僕はこれをグランドチャンピオンに推したいです。ストーリー、キャラクター、絵、そのバランスが一番取れていて、漫画力があるなと思いました。nemeさんの3作品の中でも、特にこれがイチオシですね。
カズシ(別冊マガジン)
カズシ(別冊マガジン)
吸血鬼が男の子だのなんだの真面目に言っているのが笑えました。ギャグはブラックですが優しい雰囲気を持っているのがとても魅力的。ストーリー自体はベタだけど、最後まで読ませる力があり、画力・構成力ともに即戦力レベルだと思います。

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けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
次に、シリウスが獲得した遠藤まめさんの『雲の向こうは、いつも青空』。
雲の向こうは、いつも青空
『雲の向こうは、いつも青空』
 遠藤まめ
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
とにかくセンスが良い。スカウトフェスらしいショートフィルム感が一番ありますね。濃いストーリーではないけれども、セリフが生きている感じ。あとは、デジタルならではの描画感がある気がしますね。だからこそpixivで一番映えるのかも。pixiv発の賞の大賞にふさわしい作品だとは思うのですが、いかがでしょうか。
カズシ(別冊マガジン)
カズシ(別冊マガジン)
センスが際立っているのはこの作品ですよね。最初の5ページがとてもキャッチーで惹きつけられました。この部分を見ているだけで満足できるくらい魅力的でした。ただそれ以降はちょっと展開がわかりづらくて、ネームだということもあり、キャラの区別がつきづらかったです。俯瞰図を入れるとか、視点を統一するとかして、もう少し読者に状況が一目でわかるような工夫をしてもらえるとよかったですね。
ムラ(ヤンマガ サード)
ムラ(ヤンマガ サード)
僕も、1位と言うとこれかなぁ‥‥。際立ったキャラクターや大きなストーリーの展開や目新しいアイディアがあるわけではないんだけど、にもかかわらず、美しい画面作りと繊細な演出、キャラクターの真に迫った表情で、胸に迫る作品に仕上がっていると思います。
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
そうですね。キャラと題材がうまくハマれば…。浅野いにおさんなんかも好きそうな気がするなぁ。
なかさん(なかよし)
なかさん(なかよし)
コマ割りのセンスも良いですよね。ネットとの相性は3作品の中で一番良いと思います。背景の抜き感とかも含めて。白っぽい画面でお洒落に見せることに成功していて、webと相性が良いですね。
ツッチー(ARiA)
ツッチー(ARiA)
すごくセンスがありますよね。でも、第1回の受賞作から綿々と続く、雰囲気のとても良いショートフィルムという感じもする。流れは関係ないんですけれど、今回せっかく物語性のある作品がたくさん集まったので、ストーリーやキャラクターが光っている作品を推したい気持ちがあります。そういう意味では、『マシカの馬車』もすごく面白かった。最初うちの編集部では票が入らなかったんですが、改めて読んでみると、かなり物語的には面白かった。でも、うちは女性漫画なので、グランドチャンピオンにはやっぱり、『男の子と同居中~ちなみに俺は吸血鬼~』を推したいんです!
シロー(マガジンR)
シロー(マガジンR)
スカウトFesは歴史があるんですもんね。うちは初参加だけど…。せっかくテーマ別にして趣を変えたんだから、違うタイプのものを推したくはなりますね。
ツッチー(ARiA)
ツッチー(ARiA)
まあ歴史は関係ないんでしょうけどね…。前回のグランプリ作品を少し思い出すというか…。
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
う~ん、なるほど…「スカウトFesはこういう作品だけを求めているんだ!」という感じになってしまうと、ちょっともったいないかもしれないですね。せっかく間口が広がったわけだから。

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けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
では最後に、舵木野良さんの『マシカの馬車』。
『マシカの馬車』
『マシカの馬車』
 舵木野良
シロー(マガジンR)
シロー(マガジンR)
舵木さんも他に2作投稿してくれているんですが、どれも面白かったんです。父と息子のやりとりを描いているだけなんだけれど、お父さんが実は宇宙人で言葉が全然通じなくて、とか…。この貴婦人みたいな主人公を別のシチュエーションに置けば全然違う作品もできそうですし。神棚を出したりとか飲み屋の風景を出したりとか…雰囲気作りが大人っぽい。少女漫画のど真ん中ではもちろんないんだけど、少年誌王道でもないし、かといって青年誌王道でもない、今うちが欲しい才能なんですよね。早く次の作品の打合せをしたい! うちの編集部の中では一番票が多かったんですけど、個性的な作品なので、むしろグランドチャンピオンにはならなそうだから、獲れるかな!?と思って選考会に臨んだんですが(笑)、とはいえもちろんグランドチャンピオンとして強く推したいです。
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
漫画力というか、ネームで一番読ませた作品というと、これだと思います。この方自身「引き出し」が多そうですね。
カズシ(別冊マガジン)
カズシ(別冊マガジン)
物語のテンポ、ボリューム、構成力が素晴らしく、抽象的な精神世界を上手く表現できていると思います。あえて課題を言うなら、導入が少しわかりづらいのと、絵のレベルに少しバラつきがあるのが気になりました。
なかさん(なかよし)
なかさん(なかよし)
個人的には、もちろんnemeさんをグランドチャンピオンに…!と思うのですが、デジタルの“フェニックス感”というか、夢がある感じで言うと、この作品も良いなと思います。スカウトFesはこれまで若手の繊細さみたいなものを推してきたところがあるんですが、それとは違う「壮年の胆力を感じる作品」を描いてきてくれた人に、リカバーのチャンスをあげたいというか。雑誌の新人賞ではどうしても雑誌のカラーに合うかどうかという話になってしまうんですが、その行間にある才能がコミティアやコミケに行って一大マーケットを築いている中で、デジタルにある才能をブレイクさせる意味においては、この作品を選ぶのも一手かもしれません。この作品については、自分の中での評価よりも、選考会で評価が高いというのが印象的だったんです。これだけ『マシカの馬車』について語る人がいるという…。
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
僕も、「スカウトFesってこういう作品が賞を取るんだね」というのを示す意味で言うと、実は『マシカの馬車』も良い気がしています。「ココ向け」というのがない漫画じゃないですか。webで思わぬブレイクを果たす漫画というものがあるとして、そういうものに近いような気がして。
なかさん(なかよし)
なかさん(なかよし)
そうなんですよね。スカウトFesとして、「誌風の行間の才能を求めています」ということを示すなら、『マシカの馬車』、良いのかなあと。行間にいるから雑誌では引っかからなかった人の中に、まだ才能があるのかも!?という感覚がちょっとあるんです。編集長として、こういう人に賞をあげるという、紙だとなかなかできない冒険を、スカウトFesだからこそするべきかとも感じています。
ツッチー(ARiA)
ツッチー(ARiA)
ストーリー性や発想力がすごいですよね。タイトルも気に入っています。印象に残って、面白そうに聞こえるタイトルだなぁと感心しました。

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けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
もちろん、うちとしては遠藤まめさんを推したいんですが、気になるのはさっきツッチー編集長がおっしゃったように「こういう作品ばかりグランプリを取っているな」という感じにならないかな、というところで…まあ大丈夫かなぁ。しかし決まりませんね(笑)。
シロー(マガジンR)
シロー(マガジンR)
スカウトFesとは何なのか!?という愛情がみなぎった会議ですね!
なかさん(なかよし)
なかさん(なかよし)
3作品とも、全然傾向が違いますもんね。
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
そうなんですよ。そこがまた面白いし、モメ甲斐があるというか。まあでも、未知数な感じがあるのは遠藤まめさんですよね。
なかさん(なかよし)
なかさん(なかよし)
若い人にしか描けない感覚な気がしますよね。清潔な百合というか。あと、この傍観者感覚。「リアルなところまで行ったらウチら汚れちゃうから」という感じ。
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
鉄柵の向こう側にカメラを据えてますからね。誰なんだお前、神か!?という(笑)。それに対して舵木さんは、いろんなことを経験していそうな気がしないでもない。
なかさん(なかよし)
なかさん(なかよし)
舵木さんは遠藤まめさん期を経た後に人生を悟った感がありますよね。舵木さんが遠藤まめさんのテーマで描いたとしても、このラストにはならないんじゃないかな。
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
舵木さんは、エンターテイメントとは何かということを考えて、人に見せるための何かを描こうとしている感じがしますね。
シロー(マガジンR)
シロー(マガジンR)
でしょ!? だからグランプリは『マシカの馬車』ですよ!
なかさん(なかよし)
なかさん(なかよし)
いやいや、『男の子と同居中~』です! ツッチー編集長も推してくれてますし!
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
え~、今の流れだと『雲の向こうは~』じゃないですか? …ということで、やっぱり決まらないので、決選投票をしましょう。
(決選投票。しかし見事に2票ずつと割れる…)
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
見事に割れましたね…。 やっぱりここは、議長の私が強権発動ということで――遠藤まめさんにグランプリを差し上げたいと思います!
シロー(マガジンR)
シロー(マガジンR)
チクショー!! 横暴だー!!
ツッチー(ARiA)
ツッチー(ARiA)
覚えてやがれ! 来年こそはグランプリを獲得してやる…!!
なかさん(なかよし)
なかさん(なかよし)
シリウス、最近調子が良いからってヒドイ…!! 次回はうちが議長だから、強権を発動しますよ!!
  • カズシ(別冊マガジン)
  • ムラ(ヤンマガ サード)
(コ、コワイ…。)
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
(無視)『雲の向こうは~』は途中からネームなのですが、そういう作品でもグランプリが取れるのがスカウトFes! これがどんな原稿になるかは「シリウス」でチェックしてね!

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けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
それでは最後に、次回に向けての一言を。
なかさん(なかよし)
なかさん(なかよし)
今回もとても楽しく読ませていただきました。特に今回はストーリーがしっかりしたものが多かったですね。また、初期はファンタジーっぽいものが多かった気がするのですが、第4回まで来て、多種多様な作品が読めるようになって、さらに嬉しかったです。スカウトフェスでしか出会えない才能がいっぱいあって、雑誌の新人賞では投稿されないタイプの作品が読めるので、毎回大変楽しみです。きっとまだ見つけていない才能が、まだまだ100万倍くらいあるんだろうなあと、反省です。なかよしで賞を取られたnemeさんは、ストーリーをきちんと構成できて、タイプが違う作品も描け、スカウトフェスに応募される中で、作家さんとして進化しているところが凄いです。参加して良かったなと思います。
シロー(マガジンR)
シロー(マガジンR)
他部署、他チャンネルと一緒にやることで、雑誌の新人賞では読めないタイプの作品が読めて面白かったです。作家さんの年齢や性別など、何の予備情報もなしに漫画を読むのも楽しかった。お題の制度が続くのであれば、次回もビッと来るようなお題が出せるように、今から準備しておきます!
カズシ(別冊マガジン)
カズシ(別冊マガジン)
普段別マガの賞で読んでいる作品とは毛色が違う作品がたくさんありました。賞を取られた作品はすごくレベルが高かったです。また、今回賞に残らなかった方たちの中にも、才能のある方がたくさんいたので、来年また投稿してもらえれば、全然違う結果になることもあるんじゃないかと思います。またチャレンジしてもらえたら嬉しいです。
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
今回は、題材があったせいか、濃いストーリーやネームをしっかり構成した作品が多いなという印象を持ちました。次の題材を決めるのが早速悩ましいです…! 例えば『マシカの馬車』のような作品は、シリウスには絶対投稿が来ないようなタイプのもので、本当にこの場でしか出会えない作品なので、そういう才能と出会えるのは本当に毎回新鮮です。
ツッチー(ARiA)
ツッチー(ARiA)
この選考会は、各雑誌それぞれの選考基準を聞いたりするのがまた面白いんですが、今回うちが良いなと思ったものはみんな「良い」と言っていたので、面白いものはブランドを超えて皆に通じるんだな、と思いました。題材を設けたことでストーリーがしっかりした作品が多く集まったという話が出ましたが、『シマイズム』もそういうところを感じさせてくれる作品で、嬉しかったです。前回からネームや下書きの応募もOKにしましたが、ストーリーが素晴らしい作品が多くて、どれがネームだったかとか覚えていないくらいです。こういう選考ができるのもスカウトフェスならではで面白いです。次回こそグランドチャンピオンを獲得したい…!
ムラ(ヤンマガ サード)
ムラ(ヤンマガ サード)
作品もバラエティに富んでいるんですが、選ぶ編集部側もバラエティに富んでいて、「それをそういう風にすくうんだ」みたいに、網がたくさんあるというか。バラエティに富んだ作品を、バラエティに富んだ評価軸で評価できる賞だと思います。「これは違うんじゃないかな?」というのを恐れずに、次回もどんどん出していただきたいなと思います。
けんぴち(シリウス)
けんぴち(シリウス)
みなさん、2日間にわたる選考会、おつかれさまでした! また次回もよろしくお願いします!