『たそがれたかこ』で主人公・たかこが恋焦がれるロックバンド、ナスティインコの谷在家光一。その彼のモデルでもあり著者・入江喜和先生自身が熱烈なファンでもあるクリープハイプの尾崎世界観さん。その二人の夢の対談がついに実現!プライベートから作品の秘話まで熱く語り合ってくれました。
はじめて聴いたとき、はじめて読んだとき
──それでは、まずお互いを知ったきっかけですが?
入江喜和(以下、入江):仕事中眠くならないように、たまたまラジオを聞いていまして、そしたら尾崎さんが出演されていて、それがすごく気になって。翌日錦糸町のタワーレコードで視聴したらすごい私好みで「これは好きになっちゃやばい」と思って、その日は帰ったんです。
尾崎世界観(以下、尾崎):CDは買わずにですか(笑)?
入江:はい(笑)。ただ、音が一日じゅう頭から離れなくて、次の日また、タワーレコードに行って自分の分と夫の分(入江さんのご主人は漫画家の新井英樹先生)も買って夫にもムリヤリ聴かせたら、夫もはまって今ではしょっちゅう聴いてます。
尾崎:僕はミュージシャンの友達から「どう見てもお前のことを描いているとしか思えない漫画があるから読め」と教えられたのがきっかけですね。たまたま三茶のTSUTAYAに行く用事があって、探したんですけど、どうしても見つからなくて。店員さんに『たそがれたかこ』ありますかっていうのが、ちょっと恥ずかしかったんですけど、本当にあの時読めてよかったです。
入江:ありがとうございます。
尾崎:1巻でたかこさんが秋葉原のタワーレコードにCD買いに行くシーンがあるじゃないですか(※)。あれ読んで、ファンの人たちがあんな気持ちでCD買ってくれてるんだとか、かつては自分もそうだったのにそんな気持ち忘れてたなとか、いろんなこと考えてすごく感動して。ファン一人一人にいろんな生活や事情があって僕たちの音楽を選んでくれてるんだと思うと、ファンの方たちのことが今まで以上に愛おしくなって。ちょうど、活動がうまくいってなかった時期で背中を押してもらったというか嬉しかったですね。『たそがれたかこ』はファンの方にも薦めています。
入江:最近はクリープハイプのファンの方からもファンレターをよくいただくんですけど、読んでると私なんかがいただいて恐縮するようなものばかりで…………。自分と同じようなファンがこんなにいるんだと思うと、なんだか泣けてきて。
尾崎:音楽に限らず何かを好きになったり、向き合ったりするのって楽しいけど、人には言えないちょっとした恥ずかしさがあるじゃないですか。自意識過剰といわれたらそこまでなんですけど。
入江:ありますよね。とくに私みたいなババアになると(笑)。
尾崎:『たそがれたかこ』を読んでると、たかこさんの自意識過剰な部分なんかがすごく自分と似てて共感できていいなぁって。こういうのが作品で読めるのって、すごく嬉しいなって。たぶん、それは僕だけじゃなくて読んだ人みんなに共通するのかなって思います。
入江:そう言ってくださいると、すごく嬉しいですね。
対談の続きは発売中のBE・LOVE22号にて掲載。
さらにディープな対談は11/13(金)発売の『たそがれたかこ』6巻にて!